ハナイキロク「ハトの豆鉄砲」

地球社会の世相万般をタテ、ヨコ、ナナメから取り上げます

2009-11

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米国の経済封鎖は国連憲章に反する 

《大使に聞く 0808》
 駐日キューバ大使 ホセ・フェルナンデス・デ・コシーオ氏

                                聞き手 ハナイ キロク

 
 875対1,25対1.これは米国とキューバの国土面積と人口の比較である。経済も含めて数字上は全く勝負にならない。だが、キューバは47年間超大国アメリカと対決してきた。大使との対話でその深刻さを改めて、痛感した。来年の米政権交代が、両国に和解をもたらすことを祈りたい。
――5月にキューバ革命の英雄チェ・ゲバラの長女アレイダ・ゲバラさんの東京講演会に出たところ、聴衆があふれるほどの人気でした。ゲバラ没後、40年になるのに、なぜでしょう。
大使 ゲバラの純粋さ。理想のため、貧しい人のために犠牲をいとわず戦う、という献身が、いつまでも皆さんの心の中に残っているのでしょう。
――米国の対キューバ経済封鎖を非難する決議が国連総会で毎年圧倒的多数で採択されています。それなのに米国は経済封鎖をやめません。
大使 国連総会では加盟国のほとんどがキューバの提案した決議に賛成してくれました。反対したのは米国、イスラエル、マーシャル群島、パラオ、などほんの一握りに過ぎません。国連総会は加盟国のすべてが、投票できる一番民主的な場所です。ただ、総会決議には強制力がなく、勧告にとどまっています。しかし、圧倒的多数の加盟国が、米国の反キューバ政策に政治的、道義的に反対することで、米国の孤立を示しています。国連憲章に違反する封鎖だから、日本など米国の同盟国さえ、賛成していないのです。
――米国はかつて戦火を交えた中国やベトナムとは国交を正常化したのに、同じ社会主義国のキューバには対決姿勢を崩さないのが、理解できません。
大使 キューバが社会主義国だからではなく、米国の言いなりにならなかったからです。米国は建国後早い段階から、膨張主義的でした。キューバが独立国であり、主権とか、民族自決権を持つことを受け入れられないのです。米国はキューバの体制を変革させると言い、内政干渉してきました。
――先日、米国で投獄されていた5人のキューバ人青年の控訴が却下されましたね。
大使 米国で活動してきた5人のキューバ人が10年前、スパイの疑いで逮捕され、第1審で無期懲役2回という重い判決を受け、巡回裁判所へ提訴していたのです。その半面、マイアミにはキューバの民間航空機を爆破したり、ハバナのホテルを爆破したポサダ・カリエスというキューバ系のテロリストが闊歩しています。5人はそういうテロを防ぐために、活動していた。米国の安全を脅かしたのではありません。
――中南米は米国の裏庭といわれるのに、選挙のたびに左派政権が増え、米国離れが進んでいます。
大使 ラテン・アメリカの従来の政府は米国の覇権主義的、帝国主義的野望に追随するばかりで、国民の福祉を考えなかったからです。一握りの大金持ちと多数の貧乏人の対照が大きい。新政府はより多数のために公平な解決方法を見つけたいだけなのに、米国はポピュリスト(人民主義の政治家)だ、とか反米だ、と非難を浴びせています。
――中南米諸国は日本をどう見ていますか。
大使 各国はラ米における日本のより大きなプレゼンスを求めています。日本は、米国のように覇権主義ではないし、経済力、技術力で中南米諸国の発展に貢献できる国だからです。
――米国との和解交渉は水面下でやっているのですか。
大使 ラウル・カストロ新国家評議会議長が公の場で何度も米国と和解する用意がある、と言っています。相互尊重を原則にしていますから、ブッシュ政権の間はムリでしょうが・・・。
――民主党候補のオバマ氏が米国の大統領になれば、キューバとの関係が改善されるのでは。
大使 米国の誰が大統領になっても、ブッシュ政権よりはよくなるはずです。彼は最強硬派です。
――キューバの経済は好調のようですね。
大使 ソ連、東欧が消滅した時、米国が経済封鎖を一挙に強めたので、経済危機に見舞われました。GDP(国民総生産)が35%も落ち込んだほどです。その後、回復軌道に乗り、特に観光が年12%成長、年間200万人の観光客を受け入れるまでになりました。バイオテクノロジーや医療サービスの輸出も大きい。伝統的産品―葉巻、ラム酒、ロブスター、砂糖、オレンジ、グレープフルーツ、レモンなどの輸出も回復しました。
――前国家評議会議長のフィデル・カストロ氏の健康状態はいかがですか。
大使 緊急手術をして大変なダメージを受けました。年齢も81。今安定はしているものの激務に耐えられないので、引退し、自宅で療養中です。
[このインタビューは民間外交推進協会FEC の機関紙2008年8月号に載っています]

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プロフィール

Author:ハナイ キロク
###履歴
新聞記者39年
国際選挙監視6回
海外日語講師1年
大学教師3年
  +++
フルブライト奨学金研究員1年
フルブライト奨学金調査取材2ヶ月
豪州政府奨励金 調査取材1ヶ月
###現在
ジャーナリスト
ジャパンタイムズ・オピニオン欄に寄稿中
(1997年6月から)
###著書
「アメリカ大学事情」(第10回大宅壮一ノンフィクション賞候補)
「アメリカ禁煙革命」
「生きがい求めて地雷の国へ」

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